スマートドクタープロを運営する株式会社クレアが街の修理屋として日本初、登録修理業者としても日本で2番目に「登録修理業者制度」への登録を受けて1年が経過しました。(電波法平成27年10月8日登録、電気通信事業法平成27年11月16日登録)
そこで修理をご依頼いただくお客様、お取引先、これから制度へ登録を検討されている同業者様より特にご質問が多い内容を簡単にまとめてみたいと思います。
【登録修理業者制度への登録状況および今後の展望について】
登録修理業者は現在14社(平成28年11月16日現在で内6社が弊社グループ)となり、今後は登録業者が急速に増えると思われます。
もともと登録修理業者制度は「認可」や「許可」とは違い、名称の通り「登録」の制度です。
各機種ごと、各修理箇所ごとに登録しなければなりません。
行政庁が備えている帳簿に一定事項が記載されることによってその効力が発生するものが「登録」であり 電波法・電気通信事業法で定める登録の基準に適合する場合、総務大臣の登録を受けることができます。
よって自ら制度をよく理解し登録の基準に適合した業務を行っている(行う)事を記載した資料を登録申請時に添付し提出すれば 登録は受けられる制度となっています。
では何故今まで登録が進まなかったのでしょうか?大きく分けて2つの理由が考えられます。
①登録の要件がなかなか理解できない。
「登録修理業者制度」「電波法」「電気通信事業法」「無線設備規則」「総務省令」等々、各法令・規則を読み解いて資料化し提出しなくてなりません。(もちろん業務内容が制度に適合していることが前提で、その内容の資料化が必要です。)
制度施行当初登録を申請した弊社はガイドラインやマニュアル等がなく苦労いたしましたが、現在は総務省ホームページに申請手続きマニュアルまで親切にアップされていますので簡単に作成可能となっております。
②修理の確認として「特性試験」や「試験」を実施し結果が技術基準を満たしているかの確認が必要。
コストも含めこれが最大のハードルとなっております。 修理後に電波や通信に影響を与えていないという事(技術基準に適合している事)を試験し、確認する必要があります。
また、登録時だけではなく登録後も試験が必要です。我々が登録に向け「登録証明機関」「登録認証機関」に初めて問い合わせを行った際には「1,500万程必要ですが?」と軽く言われてしまいました……
その後時間をかけ調整・コストダウンを行いましたが、それでも1測定あたり数百万円は必要なことから、修理業での利益を鑑みて登録を断念せざるを得ない業者様もあったかと思われます。 (実際に弊社加盟店では登録を必須としたため数社が契約更新を行わずに廃業されました)
こちらも最近になって試験機関が制度向けの測定サービスを開始されたり、弊社で設立した協会(SRRA)以外にも 修理業者・関連団体で設立されている各協議会・協会でコストダウンを検討されている所もあり、何とか現実的な金額になって来そうです。
上記2つの問題が業界各社の試行錯誤、努力により徐々にクリアされおそらく来年は多くの登録修理業者が誕生するものと思われます。
【未登録・無登録と言われる修理業者=違法業者なのですか?】
登録の相談を受けた業界他業者様などから「総務省に問い合わせたが違法ではないと言われた。」とのお問い合わせを多くいただきます。
ご質問をいただいても答えを出せる立場にはありませんが、制度や省令を読み解き、見解を説明させていただきます。
電波法や電気通信事業法のマニュアルにもQ&Aにて記載されておりますが、 「制度への登録は義務ではありません」とあり未登録の時点では違法ではありません。しかし、「修理された端末を特性試験を行い技術基準を満たしていなければ違法です」
ただし電波法での説明では 「 しかし、その修理業者の修理が変更の工事に該当する場合は、技術基準適合証明、工事設計認証及び技術基準適合自己確認(以下「技術基準適合証明等」といいます。) に係る表示(技適マーク)を除去しなくてはなりません。表示を除去しなかったときは電波法違反により罰せられることがあります。」とあり、我々メーカー以外の第三者修理業者が行うガラス・液晶の交換やバッテリー交換等は全て「変更の工事」に該当します。
よって端末から技適の表示を除去しなくてはならず(近年のものは全て電子表示なので除去できませんが)、除去を怠れば50万以下の罰金に処されますし、 何より修理を依頼した携帯電話端末の利用者には、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金、 特に通信事業を妨害した者には、5年以下の懲役又は250万円以下の罰金とより大きな罰則が処せられます。
すなわち登録修理業者制度に登録しない事は違法ではなく登録は義務でもないものの、 実際に修理(変更の工事)を行い、技適表示を除去しなければ罰金や懲役の恐れまであると考えられます。
<参考リンク:登録修理業者の申請手続きについて (マニュアル) 電波法・ 電気通信事業法>
【スマートドクタープロ(登録済み)とスマートドクター(登録準備中)があるのは何故?】
現行の制度では登録は各機種・各修理箇所を法人・個人ごとに申請を行うこととなっております。
弊社スマートドクターグループにおきましても弊社直営とFC加盟店は別途各法人ごとに申請をし、 登録を受けています。
そのため制度登録のためのコストが見合わないFC加盟店は登録を断念し閉店という店舗もございました。
また、登録店舗と未登録店舗がユーザーに明確に理解できるようにとの総務省様よりのご指摘にてサービスネームの変更(スマートドクター → スマートドクタープロ)を行い、看板・サイン等すべてを変更いたしました。
以上、よくいただく質問に簡単に触れてみましたが、今後登録修理業者が増え安心してユーザーが修理を出せる環境が整えばと思います。